
睡眠時間は十分足りているはずなのに、翌日の朝に疲労感が残っていることがあります。または深夜に何度も目が覚めたり寝付きが良くないなどの症状が見られることもあります。このような症状が頻繁にあるようなら、不眠症を患っているかもしれません。不眠症は比較的女性に多く、中高年から急に増える傾向があります。不眠症が酷くなると注意力や集中力が散漫になり仕事に支障をきたすほどの体調不良を引き起こすことがあるので注意が必要です。不眠症の原因は多岐に渡りますが、明るさや音などの環境的要因やストレスなどによる心の要因、飲酒や喫煙などの生活習慣が考えられます。日頃からセルフチェックを小まめにすることで、不眠症を未然に防ぎましょう。
人の眠りは浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠とに分けられ、約90分ごとにくり返しています。個人差はありますが、この周期を約4回から5回くり返して一晩の眠りとなるわけです。このレム睡眠とノンレム睡眠の2種類がバランス良く保たれていれば、質の良い睡眠を得られています。しかし職場や家庭で過剰なストレスが重なると自律神経が乱れ、交感神経が優位になることがあります。こうなると緊張感が続いてレム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れて不眠症になるのです。さらにカフェインなどの覚醒作用のある物を過剰に摂取することも避けたほうが無難です。そして一度でも誤差が生じた体内時計を元に戻すのは簡単ではありません。ゲームなどに夢中になり夜更かしをくり返すことも止めましょう。中には寝酒を習慣にしている人がいますが、アルコールは眠りを浅くする作用があるうえに依存症のリスクがあるので注意が必要です。
睡眠は単に疲れを回復させるだけではなく、脳の機能を正常に保ったり身体の免疫を維持するために重要な役割を持っています。不眠症をそのままにしておくと、うつ病などの心の病に進んでいくこともあります。眠りについて軽く考えず、少しでも違和感があれば専門家に相談することが必要です。精神科や心療内科が最適ですが、近くになければかかり付けの医師に相談してみましょう。不眠症の治療にはまず原因を特定することからはじめるのが基本です。そしてアドバイスを受けながら規則正しい生活習慣を心がけていきます。さらに睡眠薬に加え、メラトニン受容体作動薬などを使用した薬物療法行がわれます。これらの薬について副作用の心配をする人がいますが、最近の薬は副作用が抑えられているので安心です。